上映会を振り返って
ある女流作家の罪と罰
2014年に他界した、女流作家リー・イスラエル。自伝『Can You Ever Forgive Me?』を原作に、作家として落ちぶれた彼女が私文書偽造を働くさまを描いたのが、『ある女流作家の罪と罰』(2018)です。
主人公は過去にはベストセラーを出したこともあるリー・イスラエル。現在は自分の企画にこだわり過ぎてエージエントには相手にされることのない辛さは計り知れなく寂しい。 こうした日常より、生計を立てる仕事もアルコールと放漫な性格が災いして首になる。家賃は滞納、唯一この世で愛している老いた猫の治療費が支払えない底辺の生活を送っていた。その時、棚にあった、かつての友、女優から届いた手紙が目に留まり、古書店に売りさばいた。これに思わぬ高値が付いた。これに味を占めセレブの手紙の偽造を思いつき、以降はそれを仕事としてあら稼ぎを始める。
この時、人嫌いの彼女にしては珍しくジャック・ホックという男性の友人が現れ、彼女の手助けをしていくことになる。しかし皮肉にも、偽造がバレ、窮地に追い込まれる羽目になる。
偽造の手紙は「真似をされたセレブ本人よりも、さらに本人らしかった」と、のちにまで言われ続けた。
男友は、セクシャリテイが同性愛者同士 純粋な友情となり発展していった。ここには面倒な厄介さがなく、そばにいてくれる人の存在の大切さに改めて気づかされ、心地よい関係となっていた。
一見して、ユーモアはあるけれど、コメデイではなく、辛辣さに満ちた人間ドラマです。
是非、自宅シネマで鑑賞ください。